Ubuntu 26.04 LTS (Resolute Raccoon) 正式リリース — 長期サポート版の主要新機能を徹底解説
はじめに
2026年4月17日、Canonical は長期サポート(LTS)版の最新リリース Ubuntu 26.04 LTS “Resolute Raccoon” を正式にリリースしました。本バージョンは、2024年4月の 24.04 LTS から2年ぶりの LTS リリースであり、5年間の標準サポート(Ubuntu Pro で最大12年)が提供されます。
本記事では、26.04 LTS の主要な新機能と変更点を解説します。
リリーススケジュール
| マイルストーン | 日付 |
|---|---|
| 機能凍結 | 2026年2月6日 |
| ベータ版 | 2026年3月26日 |
| 安定版リリース | 2026年4月17日 |
| 標準サポート終了 | 2031年4月(5年) |
| Ubuntu Pro 延長サポート終了 | 2038年4月(12年) |
デスクトップ環境
GNOME 48
Ubuntu 26.04 は GNOME 48 を採用しています。
gnome-shell --version
# GNOME Shell 48.0
主な改善点:
| 機能 | 説明 |
|---|---|
| パフォーマンス | Mutter のレンダリングパイプライン最適化により、Intel/AMD/NVIDIA 全般でフレームレートが向上 |
| ダークスタイル | システム全体のダークテーマがより一貫性のある配色に改善 |
| 検索機能 | GNOME Shell の検索が GSoC 2025 の成果により大幅に高速化 |
| アクセシビリティ | スクリーンリーダー ORCA の PipeWire 統合が改善 |
| タイル補助 | ウィンドウ配置のスナップ候補表示がより直感的に |
Wayland がデフォルト完備
24.04 で NVIDIA ユーザーにも Wayland がデフォルトとなりましたが、26.04 では Xorg セッションの依存パッケージが分離され、クリーンインストール時は Wayland のみの構成が選択可能になりました。
# Xorg が必要な場合のみ別途インストール
sudo apt install xorg
システム基盤
Linux Kernel 6.14
26.04 LTS は Linux Kernel 6.14 をベースに、Canonical による LTS 固有のパッチが適用されています。
uname -r
# 6.14.0-7-generic
新機能:
- Schedutil ガバナー デフォルト化 — 省電力とパフォーマンスのバランスが改善
- Btrfs の RAID1 メタデータミラーリング最適化 — 冗長構成での書き込み速度が向上
- io_uring の非同期操作拡張 — データベースやストレージ集約型アプリで恩恵
- Rust for Linux のフラグメント対応 — Rust ドライバ開発が容易に
systemd 257
systemd が v249 から v257 に大幅アップデートされました:
systemd --version
# systemd 257
systemd-tmpfilesのセキュリティ強化 — シンボリックリンク攻撃の防止systemd-journaldの圧縮率改善 — Zstandard 圧縮のデフォルト採用によりログ保存効率が向上systemd-bootの UKI (Unified Kernel Image) 対応強化systemd-homedの LUKS2 トークンベースログイン対応
Toolchain 更新
| パッケージ | 26.04 のバージョン | 24.04 のバージョン |
|---|---|---|
| GCC | 15.1 | 13.2 |
| glibc | 2.41 | 2.39 |
| Python | 3.13 | 3.12 |
| Ruby | 3.5 | 3.12 |
| LLVM | 21 | 18 |
| Rust | 1.85 | 1.75 |
| OpenJDK | 24 | 21 |
# 新しい GCC で C23 の機能をフル活用
gcc -std=c23 -o hello hello.c
セキュリティ強化
TPM ベースのフルディスク暗号化
24.04 で実験的に導入された TPM ベースの FDE が 26.04 で正式対応となりました。
# インストーラからの設定例
sudo ubuntu-core-installer \
--encryption tpm \
--tpm-device /dev/tpm0
AppArmor 4.1
- ネットワーク名前空間の分離強化
- コンテナランタイム(Docker / Podman)との協調動作の改善
- ポリシーのキャッシュ効率向上により起動時間が短縮
usysuser のデフォルト有効化
システムサービスのユーザー名前空間分離が強化され、権限昇格攻撃のリスクが低減されました。
Snap とパッケージ管理
Snapd 2.70
- インクリメンタルアップデート — 差分のみのダウンロードにより、アップデート時の転送量が平均 40% 削減
- LZ4 圧縮のデフォルト化 — スナップのマウント速度が従来の XZ 比で約 2 倍高速化
apt 3.0
26.04 では apt 3.0 が採用されました:
apt --version
# apt 3.0.0 (amd64)
- 依存関係解決エンジンの刷新により、複雑な依存関係の解決が 2-3 倍高速化
- JSON 出力フォーマットの標準サポート
apt satisfyコマンドの改善
# JSON 出力の例
apt list --upgradable --format=json | jq '.'
Raspberry Pi 対応
Raspberry Pi イメージも 26.04 LTS と同時にリリースされました。
| モデル | アーキテクチャ | 推奨イメージ |
|---|---|---|
| Raspberry Pi 5 | arm64 | Desktop / Server |
| Raspberry Pi 4 / 400 | arm64 | Desktop / Server |
| Raspberry Pi Zero 2 W | arm64 | Server (Lite) |
| Raspberry Pi 3 | arm64 | Server (Lite) |
Raspberry Pi 5 向けに VideoCore VII GPU のドライバ最適化が施され、デスクトップ体験が向上しています。
# Raspberry Pi 5 でハードウェアアクセラレーションを確認
glxinfo -B | grep -i "renderer"
# GLX: Intel Mesa 25.0
アップグレード手順
24.04 LTS からのアップグレード
sudo do-release-upgrade -d
注意点:
do-release-upgradeは段階的にロールアウトされるため、リリース直後は-dフラグが必要な場合があります- アップグレード前に必ずバックアップを取得してください
- NVIDIA ユーザーはプロプライエタリドライバを使用している場合、
nvidia-driver-570への更新が必要です
クリーンインストール
ISO イメージは ubuntu.com/download からダウンロードできます。
# インストールメディアの作成
dd if=ubuntu-26.04-desktop-amd64.iso of=/dev/sdX bs=4M status=progress
まとめ
Ubuntu 26.04 LTS “Resolute Raccoon” は、デスクトップ・サーバー・クラウド・IoT のすべての領域で着実な進化を遂げたリリースです。
GNOME 48 と Wayland の成熟、Kernel 6.14 の新機能、apt 3.0 の高速化、TPM FDE の正式対応など、エンタープライズから個人利用まで幅広いユーザーにとって魅力的な LTS となっています。
すでに 24.04 LTS をお使いの場合は、今すぐのアップグレードは必須ではありませんが、新規インストールやハードウェアの更新を機に 26.04 への移行を検討する価値があります。